直近24時間前後の海外AIニュースを、出典を確認したうえでまとめました。
米国土安全保障省(DHS)、連邦の民間機関からDeepSeekの製品を排除・削除する命令を公表
10月20日付の官報によると、DHS長官は、DeepSeek(Hangzhou DeepSeek Artificial Intelligence)とその関連会社の製品・サービスを、連邦の民間機関の調達から外すよう命じた。すでに使っているものも機関のIT環境から取り除くよう命じた。DeepSeekの技術を使って作られた第三者の製品・サービスも対象になる。根拠は2018年の連邦調達サプライチェーン安全法で、例外を求める機関は命令から60日以内に申請し、CISAが審査する。CNBCによると命令自体は7月24日に出ており、国防総省は対象外。BleepingComputerは、民間企業や一般の利用を禁じるものではないと伝えている。The Decoderは「DeepSeekで作られた」の範囲や、OpenRouterのような中継サービスが含まれるかはまだ不明だと指摘した。中国外務省は「国家安全の概念の拡大解釈だ」と反発している。
出典: Federal Register/TechCrunch
Google、PyTorchをTPUでそのまま動かす「TorchTPU」をオープンソース化。前日のAmazonに続く
Google Cloudの公式ブログによると、TorchTPUはMetaのPyTorchチームと共同で開発したTPU向けの標準的な実行環境だ。PyTorch Conference 2026に合わせてGitHubで公開した。既存のPyTorchのコードを少しの変更でTPUで動かせ、vLLM、SGLang、TorchTitan、Ray、Hugging Faceなどに対応する。PyTorchの公式ブログによると、Hugging Faceでダウンロード数の多い5,000モデルがそのまま動くことを確かめたという。移行や不具合の調査を手伝う「TPU agent suite」もプレビューで出した。Hugging Faceは、Transformersでは device_map="tpu" と指定するだけでTPUで動くと説明している。TechCrunchは、前日にTorchNeuronを出したAmazonと並んで、Nvidiaの強みを崩す動きだと分析した。
出典: Google Cloud/Hugging Face/TechCrunch
Anthropic、独自のAI安全法案の草案を議員に持ち込む。モデルの公開を止められるのは「50人超の死傷か10億ドル超の損害」の差し迫った危険だけ
Politicoの報道(10/16)とTechCrunch(10/20)によると、草案では、政府がモデルの公開や利用を止められる場面を絞っている。対象は生物兵器、開発元の管理からの逸脱、サイバー攻撃のいずれかで、50人を超える死傷者か10億ドルを超える損害が予見され差し迫っている場合に限られる。商務省に登録した独立の評価者が定期的に評価し、危険を見つけたら72時間以内に商務省へ報告する。商務省はワシントンDCの連邦地裁に停止を求め、ほかの連邦機関が独自に止めることは禁じるという。評価者への支払いは、結果に連動しなければ開発企業が出してもよい。Anthropicの広報は草案の存在を認め、6月から議員に説明してきた「Advanced AI Framework」の内容だと説明した。条文は公開されておらず、提出する議員も決まっていない。
出典: TechCrunch/Politico
Anthropicの上場申請書類の草稿が流出。クラウド大手から十分な計算資源を確保できず、上半期の純損失は807億ドル
TechCrunchがWall Street Journalの報道として伝えたところでは、流出したS-1(上場申請書類)には、AWS・Google・MicrosoftがAnthropicを顧客というより競合と見るようになったと書かれていた。そのため十分なクラウドの容量を確保しにくいという。交渉中のものを含め、クラウド契約に7,500億ドル超を使う可能性がある。自社でデータセンターを借りたり外部の事業者と組んだりしているが、そうした事業者は実績が浅く信頼性に不安があるという。2026年上半期は売上163億ドルに対し純損失807億ドルで、2社の顧客が売上の約5分の1を占める。AIの有害な動作で保険を超える賠償責任を負うおそれも記載された。11月の上場を目指していると報じられている。
出典: TechCrunch
DeepSeek、V4.1-Flashを支える推論エンジン「DeepInfer」をオープンソース化
The Decoderによると、DeepSeekは社内の推論フレームワークDeepInferをApache 2.0ライセンスで公開した。vLLMをもとに、計算処理の最適化、複数チップでの分散処理、文章生成の高速化を加えたもので、今後のモデル向けのコードも公開するという。公式APIと同じトークン処理を再現するdeepseek-recipeも出し、自前で動かしても公式APIと同じ動作になるようにした。同社はXで「計算コストとエネルギー消費を下げ、AIを手頃にするため」と説明している。The Decoderは、欧米のAI企業への値下げ圧力になると見ている。
出典: The Decoder
MetaのAIエージェント「Muse」で共有リンク約6,800件が見つかり、会社の売上資料や融資の申込書が読める状態に。Metaは共有機能を停止
Ars TechnicaとThe Vergeによると、セキュリティ企業Clarocは、公開されているDNSの記録から、Museの会話の共有リンク6,800件以上を見つけた。リンクのアドレスに会話の題名が入る作りだったため、中身の見当がつきやすく、リンクも組み立て直せたという。数百件を開いたところ、全国規模のマーケティング会社のCEO向け売上資料、小規模事業者の融資の申込書、職場の1年分の休暇予定、AI企業との機密の面談に向けたメモなどがあった。Metaは共有機能を止め、リンクの見つけやすさを見直すとした。TechCrunchによると、Museは米国で公開40日で1,000万ダウンロードを超えている。
音声エージェントの新製品が相次ぐ。Mistral「Voxtral 3」とElevenLabs「Eleven Realtime」
The Decoderによると、Mistral AIのVoxtral 3は、文字起こし(50言語以上)、音声合成(35言語以上・50の方言)と、LiveKitをもとにした音声エージェント用のSDKをまとめたもの。聞く・考える・道具を使う・話すを一続きで処理する。自社の環境やEUにあるAPIで動かせ、文字起こしは1分0.0035ドルから。ElevenLabsは音声から音声へ直接応答するEleven Realtimeを2種類出した。上位のv1 MaxはBig Bench Audioで98.8%、応答まで0.57秒。同社はArtificial Analysisの一覧でこれより速くて正確なモデルはないとしている。小型のv1 Miniは相づちと話し終わりを聞き分けるという。
OpenAI、創薬の業務を支えるエージェントのOrchestra Bioを買収
OpenAIの発表とTechCrunchによると、OpenAIは、創薬の現場で予算の管理や臨床試験の日程調整などを手伝うエージェントを作るOrchestra Bioを買収した。金額は非公表。チームと技術は、生命科学向けのモデルRosalindと、実験の計画や結果の分析を手伝うRosalind Workbenchに加わる。OpenAIはRosalindの顧客にModernaとNovo Nordiskを挙げている。TechCrunchは、大手のAI企業が製薬のような大きな業界向けのソフトを自ら作る流れの一例だとしている。
出典: OpenAI/TechCrunch
米陸軍サイバー軍、他国のネットワーク内を自分で広がる攻撃用AIエージェント「ECHOTRIBBLE」を開発中と報道
The DecoderがThe Interceptの入手した資料として伝えたところでは、計画は攻撃が主な目的だ。エージェントがワームのように端末から端末へ移り、標的を「無力化」したあと自分を消すという。ネットワークにつながっていない機器でも動くことを求め、人の監督は最小限とされている。計画はまだ初期の段階。専門家は、巻き添えの被害を抑えるのはほぼ不可能だと警告している。
出典: The Decoder
SpaceX、7〜9月期決算でAI事業が売上の過半に。Cursor・Grok・データセンターで75億ドル
TechCrunchによると、SpaceXの7〜9月期の売上は146億ドル、純利益は44億ドルだった。「Super Intelligence」部門の売上は75億ドルで、買収したCursor、Grok、計算資源1.7GWのクラウド事業が支えた。AI事業の利益は4億3,100万ドルで、Cursor買収に関わる一時的な株式報酬12億ドルがなければもっと大きかったという。設備投資は196億ドルで、10〜12月期は350億〜400億ドルを見込む。Musk氏は「超知能の広がりを制約しているのは、チップより電力・冷却・設備だ」と話した。
出典: TechCrunch